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消費税 - 簡易課税


2017/3/1  菊 池 芳 平

簡易課税制度の概要
 消費税の納付税額は通常、「課税売上げ等に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額」として計算されます。
 しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度(基準期間)の課税売上高が5,000万円以下で、一定の届出書を事前に提出している事業者は、仕入控除税額を、実際の課税仕入れ等の税額とすることなく、課税売上高に対する税額の一定割合とすることができます。

適用要件と控除対象仕入れ税額 
① 課税事業者が、所轄税務署長に
② その基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間(注1)について
③ 消費税簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、
④ 当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(注2)以後の課税期間(注3)については、
⑤ 課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、次に掲げる金額の合計額とし、
⑥ 当該金額の合計額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなされます。(法37①)
一 (課税標準額に対する消費税額+貸倒回収に係る消費税額-返還等対価に係る消費税額)×みなし仕入れ率
二 特定課税仕入れ課税標準額の消費税額-特定課税仕入れ返還等対価の消費税額
(注1) 分割等に係る課税期間を除きます。
(注2) 届出書を提出した日の属する課税期間が次に掲げる課税期間である場合は当該課税期間(令56①)
一 事業者が国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除きます。)に係る事業を開始した日の属する課税期間
二 個人事業者が相続により簡易課税の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合における当該相続のあつた日の属する課税期間
三 法人が吸収合併により簡易課税の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合における当該合併があつた日の属する課税期間
四 法人が吸収分割により簡易課税の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合における当該吸収分割があつた日の属する課税期間
(注3) その基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間及び分割等の課税期間を除きます。
 
みなし仕入れ率
 仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合として適用するみなし仕入率は、以下のようにして計算します。 (法37①、令57①~⑤)
(1) 1種類の事業のみを行っている場合

 次のように事業を第一種から第六種までの6つに区分し、該当する事業の課税売上高に対し、そのみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。
第一種事業 90%  卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。
第二種事業 80%  小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。
第三種事業 70%  農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。
第四種事業 60%  第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。 なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。
第五種事業 50%  運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。
第六種事業 40%  不動産業
(2) 2種類以上の事業を営んでいる場合
 (1)に掲げた事業を2種類以上を営んでいる場合の取り扱いは以下のとおりです。
① 原則
 売上げに係る消費税額のうちに第一種事業から第六種事業に係る消費税額にそれぞれのみなし仕入れ率を乗じて計算した金額の合計額の占める割合(令57②)
② 特例
(イ)特定1事業で75%以上の場合
 2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。(令57③一)
(ロ)特定2事業で75%以上の場合
 3種類以上の事業を営む事業者で、特定の2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の課税売上高の75%以上を占める事業者については、その2業種のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高については、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上げに対して適用することができます。(令57③二)
(ハ)事業区分をしていない場合
 2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。(令57④)

消費税簡易課税制度選択届出書を提出できない場合
 次に掲げる期間は、一定の期間(注)を除き、消費税簡易課税制度選択届出書を提出することができません。
一 当該事業者が免税事業者の強制適用期間中である場合 
 調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間(法37③一)
二 当該事業者が新設法人又は特定新規設立法人の強制適用期間中である場合
 調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間(法37③二)
三 当該事業者が高額特定資産を取得した場合
 高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間(法37③三)
(注) 一定の期間は、事業者が国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除きます。)に係る事業を開始した日の属する課税期間 (令56②)

簡易課税制度の適用をやめる場合
 消費税簡易課税制度の適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。(法37⑤)
 この場合、消費税簡易課税制度選択届出書の提出日の属する課税期間の翌課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、簡易課税制度の適用を受けることをやめようとする旨の届出書を提出することができないことになっています。(法37⑥)


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