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消費税 - 納税義務①


2016/4/1  菊 池 芳 平

納税義務者 
 事業者が国内において行つた課税資産の譲渡等(注1)及び特定課税仕入れ(注2)について、また外国貨物を保税地域から引き取る者は課税貨物については、それぞれ消費税法5条により消費税を納める義務があります。(法5)
    (注1) 特定資産の譲渡等に該当するものを除きます。
     (注2) 課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいいます。


 しかし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、かつ、特定期間における課税売上高が1,000万円以下である場合等の要件に該当する場合は、消費税を納める義務が免除されることになっています。

 納税義務の免除の特例は以下に掲げるもののほかにもいろいろありますが、それについては別のところで取り上げます。

小規模事業者に係る納税義務の免除及び免除の特例 
(1)納税義務の免除
 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間(注1)における課税売上高(注2)が1,000万円以下である者は、消費税法5条の納税義務者の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、別段の定め(注3)がある場合を除き、消費税を納める義務が免除されます。(法9①)
  (注1) 基準期間は、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいいます。
 (注2)  (注2)基準期間における課税売上高は、次の金額をいいます。(法9②一)
① 個人事業者及び基準期間が1年である法人
 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
② 基準期間が1年でない法人(法9②二)
 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額からその基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額。(月数は、暦に従つて計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします。(法9➂)
➂ 基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高の範囲 (1-4-2)
 (イ)基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高に含まれるもの
・資産の譲渡とみなされるもの(法4⑤)
・輸出免税(法7)
・輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税(法8)
・その他の法律又は条約の規定により消費税が免除される場合の課税資産の譲渡等に係る対価の額
 (ロ)基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高に含まれないもの
・消費税額等
・特定資産の譲渡等の対価の額
・非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例の規定により課税資産の譲渡等とみなされるものの対価の額(法31)
・売上げに係る税抜き対価の返還等の金額
④ 基準期間が免税事業者であった場合の課税売上高
 基準期間である課税期間が免税事業者であった場合、その基準期間である課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等については消費税等が課されていないことから、この場合の基準期間における課税売上高は、免税事業者であった基準期間における課税期間中の課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の全額が当該事業者のその基準期間における課税売上高となります。(1-4-5)
 (注3) 別段の定めには、特定期間の課税売上高による納税義務の免除の免除の特例(法9の2)、相続があった場合の納税義務の免除の特例(法10)、合併があった場合の納税義務の免除の特例(法11)、分割等があった場合の納税義務の免除の特例(法12)、新設法人の納税義務の免除の特例(法12の2)、特定新規設立法人の納税義務の免除の特例(法12の3)があります。

(2)前年(前事業年度)の課税売上高による納税義務の免除の特例
 ただし、(1)の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合であっても、その事業年度に係る特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるときは、その事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されません。(法9の2①)
  この場合の特定期間における課税売上高とは、当該特定期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額をいいますが、特定期間における課税売上高にかえて特定期間に支払った一定の給与等の金額にすることができます。(法9の2➂、1-4-2、1-5-23)

 特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいいます。
一 個人事業者 その年の前年1月1日から6月30日までの期間
二 その事業年度の前事業年度(7月以下である短期事業年度を除きます。)がある法人 当該前事業年度開始の日以後6月の期間
三 その事業年度の前事業年度が7月以下の短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度開始の日以後6月の期間(当該前々事業年度が6月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)
(3)新設法人の納税義務の免除の特例
 その事業年度の基準期間がない法人のうち、当該事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である新設法人については、当該新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されません。(法12の2①)

 この新設法人が、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(注1)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行つた場合には、当該新設法人の当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間(注2)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されません。(法12の2②)

(注1) 簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除きます。
(注2) その基準期間における課税売上高が1,000万円を超える課税期間及び課税事業者選択届出書の提出により、又は前年等の課税売上高による納税義務の免除の特例、合併があった場合の納税義務の免除の特例、分割等があった場合の納税義務の免除の特例により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除きます。



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