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土地の相続税−小規模宅地等の特例 @



2013/4/1  菊 池 芳 平

 小規模宅地等について相続又は遺贈(注)があった場合は、一定の要件を満たすと、相続税の課税価格が軽減されます。
(注) 遺贈は、遺言によって相続人その他の者の受遺者に、遺産の全部又は一部を無償で与えることで、死因贈与を含みます。

 この特例は相続又は遺贈に限られるため、被相続人からの贈与 (死因贈与を除きます) や相続時精算課税の選択の適用を受けた財産については適用がないことになっています。

(注) 本文は平成25年度改正税法によって作成しています。 ( 改正は   の部分)
( 法案は、第183回国会 3月22日衆議院可決、3月29日参議院可決成立 )
 

小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例(措法69の4@)
 この特例の要件は以下のとおりです。
・ 個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、
・ その相続の開始の直前において、
・ 被相続人等(注1)の事業(注2)の用又は居住の用(注3)に供されていた建物又は構築物の敷地の用に供されていた宅地等(注4)である特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等(注5)がある場合には、
・ その相続又は遺贈により財産を取得した者に係る全ての特例対象宅地等のうち、この適用を受けるものとして選択した選択特例対象宅地等については、
・ 限度面積要件を満たす場合のその選択特例対象宅地等(これを「小規模宅地等」といいます。)に限り、
・ 相続税の課税価格に算入すべき価額は、
・ その小規模宅地等の価額に一定の区分に応じ一定の割合を乗じて計算した金額とされます。

(注1)この場合の被相続人等とは被相続人又はその被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族をいいます。

(注2)事業には事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの(準事業)を含みます。

(注3)居住の用には、
居住の用に供することができない事由として政令で定める事由により相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていなかった場合(政令で定める用途に供されている場合は除かれます。)におけるその事由により居住の用に供されなくなる直前のその被相続人の居住の用が含まれます。(平成25年度改正措法69の4@)

( 平成25年度税制改正大綱)
  老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
  イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
  ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
この規定は、平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。 

(注4)宅地等とは土地又は土地の上に存する権利をいいます。

(注5)これらの宅地等は棚卸資産に該当しないもので事業の用又は居住の用に供されていた部分に限られます。

相続税の課税価格に算入すべき価額は(措法69の4@)
 相続税の課税価格に算入すべき価額は、次の小規模宅地等の区分に応じそれぞれに定める割合を乗じて計算した金額ですので、その小規模宅地等の差額分の課税価格だけ少なくなるといえます

一 特定事業用宅地等である小規模宅地等、特定居住用宅地等である小規模宅地等及び特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等 100分の20

二 貸付事業用宅地等である小規模宅地等 100分の50

限度面積要件とは(平成25年度改正措法69の4A
 限度面積要件は、次の場合の区分に応じ、それぞれに定める要件となります。

一 特定事業用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等(特定事業用等宅地等)である選択特例対象宅地等・・・・ その選択特例対象宅地等の面積の合計が400平方メートル以下であること。

二 特定居住用宅地等である選択特例対象宅地等・・・・ その選択特例対象宅地等の面積の合計が330平方メートル以下であること。(330u制限は平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用。平成26年12月31日以前取得は240uを適用します。))


( 平成25年度税制改正大綱)
 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330u(現行 240u)までの部分に拡充する。
この規定は平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。

三 貸付事業用宅地等である選択特例対象宅地等・・・・ 次のイ、ロ及びハの規定により計算した面積の合計が200平方メートル以下であること。

イ 特定事業用等宅地等である選択特例対象宅地等がある場合のその選択特例対象宅地等の面積を合計した面積に400分の200を乗じて得た面積

ロ 特定居住用宅地等である選択特例対象宅地等がある場合のその選択特例対象宅地等の面積を合計した面積に330分の200を乗じて得た面積

ハ 貸付事業用宅地等である選択特例対象宅地等の面積を合計した面積

 
( 平成25年度税制改正大綱)
  特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。 なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。
この規定は平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。

限度面積要件を満たさない場合(措通69の4-11)
 選択特例対象宅地等が限度面積要件を満たしていない場合は、その選択特例対象宅地等のすべてについて特例の適用がないことになるとされていますので注意が必要です。

 ただし、期限後申告書や修正申告書において、その選択特例対象宅地等が限度面積要件を満たすこととなったときは、その選択特例対象宅地等について適用があることとされています。

申告期限までに分割されない場合
 この特例は、相続又は遺贈に係る申告書の提出期限(「申告期限」)までに共同相続人又は包括受遺者によつて分割されていない特例対象宅地等については、適用しないこととされています。(措法69の4C)

 ただし、その分割されていない特例対象宅地等が申告期限から3年以内(その期限が経過するまでの間にその特例対象宅地等が分割されなかつたことにつき、その相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたことその他の政令で定めるやむを得ない事情がある場合において、政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、その特例対象宅地等の分割ができることとなつた日として政令で定める日の翌日から4月以内) に分割された場合には、その分割されたその特例対象宅地等については、適用が認められることとなっています。

申告手続
 この特例は、この規定の適用を受けようとする者のその相続又は遺贈に係る相続税の申告書(期限後申告書及び修正申告書を含みます。)にこの適用を受けようとする旨の記載及び計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用されます。(措法69の4E)

 ただし、相続税の申告書の提出がなかつた場合又は記載若しくは添付がない相続税の申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めれれるときは、その記載をした書類及び財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、この特例を適用することができるとされています。(措法69の4F)

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